タイ不動産市場の現状と、私が今もこの市場に注目する理由

タイ不動産市場の現状と、私が今もこの市場に注目する理由

 

はじめに

最近、タイ不動産市場についてネガティブなニュースを目にする機会が増えています。

2026年第1四半期の外国人によるコンドミニアム所有権移転は前年同期比約17%減少し、中国人購入者も大きく減少しました。また、バンコク首都圏には約35万戸の売れ残りコンドミニアムがあるとも報じられています。

タイで中国人のコンドミニアム購入が38.8%減 外国人向け市場全体も17.3%減少

こうした数字だけを見ると、「タイ不動産市場は厳しい」と感じる方も多いでしょう。

実際、市場全体を見れば決して楽観できる状況ではありません。

しかし私は、「タイ不動産はもう厳しい」とは考えていません。

 

 

 

タイ・バンコクという都市を注目する理由

その理由はシンプルです。

不動産価格を決めるのは国ではなく、都市であり、さらに言えば都市の中の限られた立地だからです。

過去20年間を振り返ると、アジア主要都市の中心部における住宅価格は大きく上昇してきました。

 

各都市の過去20年の価格推移(概算)

都市名 価格推移
東京 約1.5~2倍
台北 約2~3倍
シンガポール 約2~3倍
香港 約2~4倍
バンコク 約2~4倍
上海 約4~6倍

※中心部高級マンションの長期推移を参考にした概算値であり、エリアや物件グレードにより異なります。

 

バンコクも例外ではありません。

BTS・MRTの路線拡大、スクンビットエリアの発展、大規模再開発、外国企業の進出などを背景に、都心部の不動産価格は長期的に上昇してきました。

バンコク中心部の価格は、アジア主要都市と比較するとまだ低い

日本不動産研究所(JREI)が公表している「Global Property Value Index」では、東京・元麻布の高級マンション価格を100とした場合、各都市の価格水準は次のようになっています。

 

 

各都市の価格指数

都市名 価格指数
東京 100
台北 163.9
シンガポール 147.1
香港 261.6
バンコク 36.2
上海 166

(出典:日本不動産研究所「Global Property Value Index」)

 

 

もちろん、所得水準や経済規模、金融政策などが異なるため単純比較はできません。

それでも、アジア主要都市と比較すると、バンコク中心部の価格水準は依然として低いことが分かります。

私は、この価格差には今後も注目する価値があると考えています。

 

 

 

バンコクで良い物件が集まるエリアは?

 

「タイを買う」のではなく、「良い物件を買う」時代

だからといって、「タイならどこでも買えばよい」という話ではありません。

現在の市場では供給過多となっているエリアも多く、売れ残っている物件も少なくありません。

これから重要なのは、「タイを買う」のではなく、「良い物件を買う」ことです。

 

例えば、以下のエリアは、今後も外国人駐在員や富裕層タイ人からの需要が期待できる立地です。

エリア 特徴
アソーク 交通利便性が高く(BTSアソーク駅、MRTスクムビット駅がありバンコク内でも最大の乗降客数を誇る)、オフィス街や観光エリアとしても人気。
プロンポン 大型ショッピングエリアEM DISTRICTがBTSプロンポン駅に直結しており、日本人駐在員に人気の住宅エリア。
トンロー 高級住宅や飲食店が集まるバンコクの中でもハイソな人気エリア。
ルンピニー ルンピニ公園やオフィス街、高級住宅街が融合したエリア。
ランスアン バンコク屈指の超高級住宅エリア。高級コンドミニアムやホテル、コミュニティモールが一体となったSindhorn Villageが注目を集めています。
ワイヤレスロード 日本・アメリカ大使館をはじめ、高級ホテルやブランドレジデンスが立ち並ぶエリア。
One Bangkok周辺 オフィス・商業施設・ホテル・レジデンスからなる大規模複合開発「One Bangkok」を中心に、街づくりが進む注目エリア。

 

私は日々賃貸仲介の現場に立っていますが、このようなエリアの優良物件は空室期間が比較的短く、賃料も安定しているケースが多く見られます。一方で、同じバンコクでも立地や物件によっては賃貸が決まりにくく、価格も伸び悩むケースがあります。つまり、市場全体を見るだけでは本当の姿は見えてきません。

 

不動産投資は「値上がり益」だけではありません。私は、不動産投資を値上がり益だけで考えるべきではないと思っています。これからの時代、日本国内だけに資産を集中させるのではなく、海外にも資産を分散して保有するという考え方は、以前にも増して重要になっています。

 

株式もそうです。

預金もそうです。

そして、不動産も同じです。

タイ不動産は、その資産分散先の一つとして十分検討する価値がある市場だと考えています。

もちろん、どの物件でも良いわけではありません。

 

賃貸需要、立地、管理状態、再販性、そして購入価格の妥当性をしっかり見極め、長期的な視点で判断することが大切です。

 

最後に

市場全体の統計だけを見ると、不安になるニュースが続いています。

しかし、不動産は常に「市場全体」ではなく、「どの場所の、どの物件を持つか」が結果を大きく左右します。

私はこれからも、日々の賃貸仲介や売買の現場で得られる情報をもとに、バンコク中心部の優良物件には十分な可能性があると考えています。

だからこそ、「タイだから買う」「タイだから買わない」という判断ではなく、一つひとつの物件を丁寧に見極めることが、これからの不動産投資で最も重要になるのではないでしょうか。